花押をサインとしてなされた自筆証書遺言が、無効との最高裁判決がありました。
「花押(かおう)」が印の代わりに記された遺言書の有効性が争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷(小貫芳信裁判長)は3日、「押印の代わりに花押を使用する慣行や法意識はない」として遺言書を無効とする初判断を示した。その上で、有効性を認めた1、2審判決を破棄、相続についての審理を尽くすため、福岡高裁に審理を差し戻した。
花押は名前の一部を独自に崩して記す。戦国武将などが使ったほか、現在は閣議書を回覧する持ち回り閣議で大臣が使うことがある。民法は、本人が遺言書を作成したことを厳格に証明するため、本人の署名と印をつけるよう規定。印は認め印や指印を有効としている。問題となった遺言書を記した男性は、署名の下に花押を記していた。
同小法廷は「印は遺言者の同一性や真意を担保するほか、文書が完成したことを確認するためにある。花押を記して文書を完成させるという一般慣行はわが国にない」と指摘した。
自筆証書遺言は、
1.全文を本人の自筆にて作成
2.日付(年月日)を記入
3.署名・押印をします。
4.死後、遺族が開封せずに、家庭裁判所での検認手続が必要
上記のうち、”3.署名・押印”の要件が欠けるために、遺言としての法的性質が否定された形です。
今の時代、花押とは、国会議員でもあるまいし、”よく作ったな”というのと、”よく書く練習をしたな”と、2重の驚きはあります。サインですので、書く毎に違っていてはダメですので、それなりに練習しないと、サインとして役立たないでしょうね。
現実の一般社会では花押は使用されていないのと、遺言の法的厳格性にて、遺言での花押の使用が法的要件に欠けるとされてしまいました。
遺言書は、故人の遺志なので、相続人が”故人の遺志を尊重して、書いてあるとおりに致します”と全員が一致して、争いがなければ、まあ紛争は発生しませんが、争いがあれば、遺言書の法的正当性が問われ、法的要件に合致しなければ、無効となり、骨肉の争いが生じます。
自筆証書遺言・秘密証書遺言は、遺言者が作成するものなので、法的要件に少しでも欠ければ、裁判所は認めてくれず、無効となってしまいます。
やはり、ちゃんとした遺言書は
公正証書遺言
がベストですね。
遺言者の意思として、公証人が作成してくれて、法的にも問題がありません。
遺言者の死後、相続人間の争いが発生しないためには、公正証書遺言をしっかりと作成するのが一番です。
当事務所でも、公正証書遺言作成のサポートを致しますので、お問い合わせ頂ければ幸いです。