このところ銀行の店舗で広告がよく出ている「iDeCo」ですが、確定拠出型年金の個人型のものとなります。
国民年金は年間78万円程度、厚生年金は年額120万円程度ですので、これでは老後が心もとありません。さらに支給は基本的に65才からですので、ますます老後が心配です。
国の社会保障予算をこれ以上増やすのも難しいので、あとは「国民ひとりひとりでなんとかしなさい」ということで国が率先して「自助努力」で年金を増やす方策としての個人型確定拠出年金となります。
概要
「年金」の名前がついていますが、月々つみたての投資信託と考えると理解が早い制度です。
ただ証券会社が行っているただの積立投信とは違い、積立時・運用時・受け取る時の3つの時点での税金が有利になるようになっていて、さすが国が率先して宣伝しているものです。
税制優遇
その税制優遇ですが、下記3つのシーンで控除があります。
老後に備えて証券会社で投資信託の積立をしているようでしたら、税制優遇を考えて「イデコ」に変えた方がダンゼンお得です。
積立時
積立する際の積立額は、全額が「小規模企業共済等掛金控除」という所得控除になります。
つまり、投信積立する金額がすべて所得がなかったこととなり、所得税・住民税などの税金が安くなるのです。
サラリーマンの場合、給与天引きで「イデコ」掛け金を支払いなら会社側で自動的に控除申請となります。銀行引落なら、保険料控除などと同様に年末調整に記載すればオーケーです。
ちなみに、年収650万円のサラリーマンが毎月23,000円を積み立てたら、年間82,000円程度の節税効果があります。
運用時
投資信託を運用すると、年1回の決算をして分配金が出た場合、通常の投資信託でしたら30%が課税されますが、この「イデコ」は「運用益非課税」となります。
ただ、運用している投資信託が分配金を出さない方針の投資信託なら(ひふみプラスなど)あまりメリットはありませんが、インデックスファンドは年1回の分配金を出すものもあるので、使えるサービスです。
受け取る際
「イデコ」は、60歳になるまで引き出すことができませんが、60歳になり年金を受け取る際、一括で受け取る場合は「退職所得控除」として課税され、毎年少しずつ受け取る場合は「公的年金等控除」が適用されます。
通常の投信積立は、受け取る際はキャピタルゲイン課税されるので、この控除も大きなメリットとなります。
掛け金
掛け金は、会社で企業年金に入っているかどうかなどで変わってきます。全額が所得控除されるので、金額制限なく積立できるという訳にはいかないのが残念なところです。
公務員 | 12,000円 |
会社員(企業年金あり) | 12,000~20,000円 |
会社員(企業年金なし) | 23,000円 |
専業主婦 | 23,000円 |
自営業 | 68,000円 |
運用
金融機関
基本的には投資信託を使っての運用ですので、いままでの生命保険会社などで取り扱われている個人型年金は自分で積立額だけ気にしていればよかったのですが、この「イデコ」は、運用の中身まで気にしなければなりません。
この運用次第で老後の受取額が変わってくるので、運用が一番肝心な点ですね。
運用できる投資信託は、「イデコ」に加入する金融機関によってかわってきます。
また、金融機関によって口座管理手数料がかかるところもありますので、金融機関選びも重要になってきます。
金融機関選びですが、ネット証券会社でしたらSBI証券と楽天証券が「イデコ」を取り扱っていて、両社とも投資信託の種類が豊富で、口座管理手数料が不要となります。
インターネットでの金融取引に抵抗がなければ、ネット証券はオススメです。
運用商品
運用する投資信託ですが、インデックスファンドを主体として、自身の年齢とリスクを考慮しながら、例えば下記のように考えると良いと思います。
年齢 | 世界株 | 日本株 | 世界債券 | 日本債券 |
30歳 | 55% | 15% | 25% | 5% |
40歳 | 40% | 10% | 40% | 10% |
50歳 | 25% | 5% | 55% | 15% |
若いうちは株を主体にリスクを高めにリターンを狙い、年を重ねる毎に株の比率を少なくしてリターンよりもリスクを低くして安全を狙うという具合です。
この様な投資先の比率を考えるのが面倒という向きには、バランスファンドなどもありますので、そちらの検討もよいと思います。
給付
給付は、「老齢給付金」という名の5年から20年の有期年金か一時金。そのほか「障害給付金」「死亡一時金」というのもあり、そこらへんは公的年金ならではの制度となります。
受給開始年齢は、加入期間により分かれてきますが、10年以上加入していれば60歳から受給が可能となります。
また、70歳になっても給付請求がない場合は、全額一時金として支給となります。
以上のように、税制上優遇された制度となりますので、老後に向けた毎月の積立を考えているようでしたら、現在のところ「イデコ」が最良の禁輸商品と思われます。
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