B/L, 必ず知っておきたい17のポイント 

貨物の輸出入をする際に必ずあるのがB/L(BILL OF LADING)です。表や裏にいろいろと注意すべき事柄が記載されています。

特に裏側は細かい字の英語で記載されていて、理解をするのに苦労します。ここには運送に関する荷主と運送人の契約事項が記載されていて、トラブルになった際にはこの裏面約款に基づいてトラブル処理されますので、理解が必要です。

フォワーダーの場合、荷主に対しては運送人で、船社に対しては荷主になるので、特に注意が必要です。

ここで17の理解しておくべきポイントを記載しましたので、参考にして頂けると幸いです。

ヘーグ・ヴィスビー・ルールと国際海上物品運送法

B/Lの統一ルールは、ヘーグ・ヴィスビー・ルールとハンブルグ・ルールという2つのルールシステムがあり、日本を含む先進工業国(アメリカ以外)はヘーグ・ヴィスビー・ルールを批准していて、発展途上国はハンブルグルールを批准しています。

日本の国際海上物品運送法は、このヘーグ・ヴィスビー・ルールの国内法として制定されていて、日本で発効されるB/Lはヘーグ・ヴィスビー・ルールにて作成されています。

 

受託約款・優先約款

シッパーが異議なくB/Lを受け取ることによって、シッパーがB/Lの表・裏の約款に合意してものと見なすのが受託約款です。

シッパーと運送人との間でB/L以外に合意された特約があっても、それよりもB/Lの約款が優先するというのが優先約款です。

この2つの約款により、B/Lの流通性を確保しています。

 

不知約款

シッパーは、運送品の明細について運送人に通知した事項が不正確な事によって、運送人が損害が生じたら、シッパーはその損害を補償しなければなりません。

また、運送人はB/Lの記載が事実と異なる事をもって善意のB/L所持人(善意の第三者)に対抗することはできません。

よって、不知文言(SHIPPER’S WEIGHT, LOAD AND COUNT / SHIPPER-PACKED CONTAINER)を付記しない場合、B/Lの記載が事実と異なることをもって善意のB/L所持人に対抗できないことになり、求償されることもあるので、注意が必要です。

 

合意価格約款

合意価格約款・責任制限約款により運送人の責任を減免するためには、運送人は荷主にあらかじめ

「実価格に基づいて賠償をうけることができる運賃料率」

「賠償額が一定限度額を超えないことを条件とする運賃料率」(通常はこちら)

のどちらかを選択するよう運賃選択権を与えなければなりません。

そのため、価格通告欄がB/L表面に設けられています。

 

ON BOARD NOTATION (積込済の付記)

B/Lの区分の一つに、「RECEIVED B/L」と「SHIPPED B/L」があります。

「RECEIVED B/L」は、貨物を受け取った際に発行するB/Lです。

「SHIPPED B/L」は、船が出航された際に発行するB/Lです。

L/C買取条件に「SHIPPED B/L」が求められるので、通常はSHIPPED B/Lが発行されます。

そのため、B/L下部に、VESSEL / PORT OF LOADING / DATE / SIGNATURE の欄があり、事項記載の上、サインすれば、 積込済の付記(ON BOARD NOTATION)となり、SHIPPED B/Lとなります。

 

不測の事態(CASPIANA CLAUSE)

運送人の運送の履行が、相当な努力を尽くしても避けることのできない障害・危険・騒動の影響を受け・受けそうな場合は、運送が開始前・開始後でも、荷主に通知することなく運送が終了したものとして処理することができて、運送人が安全で便利であるとみなす任意の地点・港において荷主に引き渡すことができて、それをもって運送を終了することができる、という規定がCASPIANA CLAUSEです。

 

積付の自由

運送人は、荷主に通知することなく、運送品を甲板積み・ホールド積みで運送することができて、甲板積みの場合、運送人は甲板積みであることをB/Lに記載することを要しないという規定です。

 

危険品及び禁制品

荷主は運送人に、危険性・可燃性・放射性・破壊性のある物品を運送の委託をする場合、事前に通知して運送人の同意を得て、かつ運送品の外面に法律・規則・条約の定める表示をしなければなりません。

この条件を怠った場合た禁制品の場合、積港・揚港・寄港地その他運送途上において法律・規則により禁止されていることが判明した場合、運送人は荷主に補償することなく、運送品を無害化・投棄・荷揚その他の方法で処分できて、一切の損失・損傷・責任は荷主が負担するという規定です。

 

鉄、鋼材、金属製品(RETLA CLAUSE)

鉄・鋼材・金属製品は、温度の変化により結露し、錆・酸化などが発生します。よって、運送引き受けの際に外観上良好な状態で受け取ったとしても、運送後の貨物引き渡し時に運送品の固有の性質の結果として生じる損失・損傷(錆・酸化)については責任が無い旨の規定です。

 

運送品引き渡し

B/L上に記載のNOTIFY PARTYは、運送人の参考のためであり、NOTIFY PARTYに通知しないことによる責任は運送人は追わないという規定です。

 

責任の限度

運送人の価格は、INVOICE VALUE・運賃・保険料を加えたものとする。さらに、損害(滅失・損傷)の限度は、1包・1単位あたり666.67SDRか、総重量1Kgあたり2SDRとなります。

コンテナ単位の運送の場合、コンテナ内の貨物個数がB/L上に記載の無い場合、コンテナ単位が責任限度としての1包となります。

遅延その他の事由による直接・間接または派生的損害について一切の責任を負わない。また運送人の責任が立証されて時に限り、運賃額を限度として責任を負います。

 

ヒマラヤ条項(HIMALAYA CLAUSE)

運送人の使用人・代理人などの荷主に対する責任は、運送人が行使できる抗弁・責任制限を援用できるという規定です。

 

損害の通知と出訴期間

運送品に隠れた瑕疵(滅失・損傷)があった場合、引渡後連続7日以内に書面で通知がされないがぎり、貨物を引渡たことになります。

また、引渡から1年以内に訴訟による請求がない場合、請求権は消滅するという規定です。

 

荷主の責任

荷主とは、SHIPPER. CONSIGNOR. CONSIGNEE. OWNER. RECEIVERをいい、B/Lに基づき荷主が引き受ける義務の一切を履行する責任を連帯して負うという規定です。

 

コンテナ

荷主によって詰められたコンテナは、運送人は中身に係る滅失・損傷については責任を負いません。

荷主は、コンテナ詰めの不適切な方法、不適切な物品、荷主の不適切なコンテナ検査による欠陥により生じた損害は、運送人に対して責任を負います。

また荷主は、運送人が提供したコンテナそのほかの機器の滅失・損傷に責任を負い、コンテナを返却する際には、内部をブラシかげした上で汚れがない状態で、運送人の指定する場所に指定期日までに返却しなければなりません。

 

運賃・料金

運送人の荷主に対する運賃・料金は、いかなる状況下においても、その請求権を有します。

荷主は、運賃・料金を控除・反対請求・相殺することなく、全額を現金で支払わなければなりません。

荷送人・荷受人・運送品の所有者・B/L所持人は、運送人に対して連帯して、運賃・料金の支払い、B/Lに基づく義務の履行に責任を負います。

 

リエン(LIEN)

リエンとは、債権の弁済を確保するための物的担保権の概念です。欧米法の概念で、日本では「留置権」「先取特権」の概念です。

運送人から荷主に対する、運賃・その他の請求権を回収するため、運送品を競売・私的取引により売却して売却益を充当できる。不足する場合は荷主に請求することができるという規定です。