改正入管法の成立 2018年

特定技能1号・2号の在留資格を新設を柱とする入管法の改正が成立しました。

2019年4月詳しい内容は政令・省令で定めるということなので、詳細はこれからですが、下記にてかいつまんでカンタンに説明します。

特定技能1号

「相当程度の知識または経験を要する技能」を持つ外国人には特定技能1号がまずは与えられます。

技能実習終了した外国人か、技能と日本語能力の試験を合格した外国人に発給され、在留期間は通算5年までとされ、家族の帯同は認められていません。

職種は、下記の14業種です。どれも人手不足が叫ばれてている業界です。

介護・ビルクリーニング・素形材産業・産業機械製造・電気電子情報関連産業・建設・造船船舶工業・自動車整備・航空・宿泊・農業・漁業・飲食料製造・外食

コンビニは今回は省かれています。

日本語能力の試験は、まずは外務省が、ベトナム・中国・フィリピン・インドネシア・タイ・ミャンマー・カンボジアの7か国で実施が決まり、あと1か国は調整中で、合計8か国で当面は行うとのことです。

ただ、外務省の日本語テストは義務付けられてはいないので、所轄官庁がさらに独自に試験を行う可能性もあるというヤヤコシイ状態になっています。

結局のところ、製造関係の特定技能1号は、技能実習を終えた外国人がさらに日本に滞在したいという場合に機能する在留資格と思われます。

介護に関しては、日本でがんばって勉強して「介護福祉士」の資格を取得すれば、在留資格「介護」への道も開けるようになるようです。

また、外食がありますので、例えば留学生が居酒屋でアルバイトしていて、学校を卒業して、そのままその居酒屋に社員で就職する場合は、今までは技術・人文知識・国際業務の在留資格をムリクリにでも変更するしかありませんでしたが、来年4月以降はこの特定技能1号に変更して社員として新卒入社ができるようになると思われます。

そういう意味においては、コンビニ店員(または小売店販売員)が今回の特定技能1号に含まれていないのは、コンビニ業界は痛手と思われます。特定技能1号にコンビニが無い現状では、コンビニでバイトしている留学生が卒業後の就職先にコンビニを選ぶ場合は、今まで通りムリクリに技術・人文知識・国際業務の在留資格に変更するしかありません。

技能実習に来た外国人は、技能実習中は技能実習先の会社を変えることができないので、晴れて技能実習を終えたら「年季明け」という感じで、特定技能1号を取って、今までの会社が待遇が良ければそのまま残り、ブラック企業だったら転職をする、という感じになるのではと思っています。

技能実習での会社の待遇には良いところと悪いところの差が激しいようですが、悪いところは技能実習明けの外国人はよそに行ってしまうでしょうから、技能実習の待遇改善に多少なりとも寄与するという側面も出てくるのではと思います。

 

特定技能2号

特定技能1号からステップアップする在留資格が特定技能2号です。

特定技能1号の職種全部ではなく、今のところ下記5つの職種となります。

建設・造船船用工業・自動車整備業・航空業・宿泊業

よって、日本に長く滞在したい外国人は、技能実習からこの職種にて行えば、その後特定技能1号、特定技能2号と、長く日本に滞在することが可能となります。

熟練した技能を持つ外国人に与えられますが、その技能のレベルは未定でこれから詳細が決まることになります。

在留資格更新が可能、更新回数に制限が無い、家族帯同が可能なのは、現在の就労関係の在留資格と変わらない取り扱いです。

日本に10年滞在し、そのうち5年間は就労関係の在留資格にて滞在すれば「永住許可申請」する資格が得られますが、特定技能2号にて日本に滞在している期間は、この「就労資格にての滞在期間」に含まれるように検討中のようです。

 

まとめ

技能実習は、「技能実習で来た外国人は、技能実習が終われば母国に帰り、日本で学んだ技能を母国に広めて下さい」という趣旨で、技能実習が終われば帰らなければなりませんでした。

帰国するのが大半でしょうが、帰りたくない外国人などは難民申請を行うなどして問題になっていました。

今回の特定技能の在留資格新設で、技能実習後も日本に残ることが可能となります。また特定技能では転職も可能ですので、技能実習の待遇改善にも多少なりとも寄与するでしょうから、技能実習で来た外国人に少しばかりでしょうがキャリアアップの希望を与えることになると思われます。

この在留資格の今後をウオッチしていこうと思います。